小樽市忍路 川本 勲さんインタビュー
中堅になって漁の手応えを実感できるように
忍路で生まれ育ち、高校卒業後に漁師を継ぎました。私で3代目になります。正直、自分では、全然やりたいと思っていなかった。当時は、カレイやヒラメ漁もやっていたので、夜中1時や1時半に起きて出て行くのを見ていましたから。でも、父親には後を継ぐように言われていて、高校卒業後すぐに漁師として船に乗り始めたわけです。
船は4艘持っていて、ウニ漁を主にやっています。網を揚げる時などは、今年75才になる父も一緒に乗って手伝ってくれますが、あとはほとんど一人でやっていますね。平日は朝5時に海へ出て、9時には岸に戻ります。ウニを降ろし、殻を割って中身を出し、人工海水で洗って、皿に詰める。作業は家族でやりますが、近所に親戚が何軒かいるので手伝ってもらっています。そうして詰めたウニは、午後には市場へと運びます。
ウニ漁は竿を使い、捕れるウニの大きさは決まっています。尺(さし)で計って、これより小さいものは捕らない。稚ウニの放流もしていますが、その大きさになるまで2〜3年はかかっていると思います。
ウニももちろん、捕れる時と捕れない時があります。雨が降ったりして水が濁ると見えなくなるし、波があっても隠れてしまってダメ。岩の下から上がってくるタイミングなど、ウニ漁には勘が大切だと思います。私も中堅処となり、自分なりのノウハウもあって、やっと捕れるようになってきました。若い漁師を見ていると、「自分もこんな感じだったなぁ」と思い出すこともありますが、まだまだ年上の漁師にはかなわないという気持ちもありますね。
ウニの漁期は5月から8月いっぱいですが、ほかには年が明けるとニシン、ほぼ一年を通してタコも捕ります。昔は、余市川に遡上するサケを捕っていたこともありました。タコは箱を仕掛けておき、ウニ漁のない日に見に行ったりします。昔は木箱でしたけれど、すぐボロボロになるので、今はプラスチック製ですね。
現在、忍路に漁師は10軒あまり。新年会や漁の前の会議で集まったりしますが、若い人もけっこういるので、後継者は育っていると思います。
川本 勲さん プロフィール
昭和44年小樽市忍路で、祖父の代から続く漁師の家に生まれる。高校を卒業後漁師となり父の喜代美さんを手伝う。家族は、勲さん夫婦とお子さん3人、喜代美さん夫婦の7人。
ウニ漁から出荷まで
殻から取り出し、ケースに詰めて出荷する。家族総出の素早い対応が要求される。