小樽の水産加工品〜小樽の水産加工品の特徴

近海産ものを主体に発展した加工品は多種多彩

 小樽では、明治初期から保存のきく身欠きニシンや鰊油などニシンの加工品をはじめとする多種多様な水産物を小樽港より本州へ海上輸送するため、水産加工業が盛んになったといわれています。現在小樽市の水産加工業(水産食品製造業)の製造品出荷額は、製造業全体の約13パーセント(平成25年工業統計調査)を占め、小樽市の基幹的な産業の一つになっています。
 近年、海洋環境の変化などにより水産資源が減少し、原料の確保が困難になってきているといわれていますが、小樽で水揚げされる魚種は約40種にも及びます。代表的なものとしてホッケ、スケソウダラ、カレイがあり、平成26年の「魚種別漁獲高」の統計によると、ホッケの漁獲量は5,234トン、スケソウダラは3,370トン、カレイは1,434トン、その他、イカ、タコ、タラ、近年ではニシンの漁獲量も回復傾向にあります。

 それらを原料にした水産加工品は、「かまぼこ」、「飯寿し」「数の子」「たらこ」「甘露煮」「干物」「すり身」「切り込み」「つくだ煮」「魚介のフライ」など多種多彩。多様化した消費者ニーズに応えられるよう、バラエティに富んだ商品を製造しています。水産加工品の特徴は、各製造工場で素材の味を生かすように独自の調理法を開発し、オリジナリティあふれる商品作りを行っていることころです。下処理はベテランの主婦たちによる手作業が多く、地元産(ホッケ、スケソウダラ、カレイなど)の原料を主体に使っているところが多いのも特徴。輸入原料であっても高品質なものを厳選し、独自の技術で近海産のものと遜色のないように仕上げています。加えて、昔から伝わる味をベースにイメージを変えずに工夫しながら、若い世代にも受け入れられる味を生み出しています。このこだわりが「小樽ブランド」の信頼性を上げ、多くの人を魅了しています。
 小樽の水産加工品は人気が高く、自社ブランドを立ち上げ、道内及び全国の百貨店、量販店、地産地消を掲げるアンテナショップ、スーパーマーケット、コンビニ、地域の鮮魚店や、業務用として病院、学校、ホテルなどにも利用され、全国に流通しています。また、海外輸出や海外への販路拡大にも力を注いでいる企業もあります。

たらこ製品
にしん製品

干物
数の子製品

【参考文献「小樽の水産加工業―小樽ものづくりの原動vol.3」】